卓645 福来の山道
水越 卓治 2022.02.04
学校は、30km北の彼方から
筑波山に見守られています。
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( 2021/10/21 15:32 昨秋、卓630の冒頭と同じ写真を出してしまっております。 )
( 写真左方の新井先生は、季節に関係なく時間が空いていれば廊下をひたすら歩きます。)
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先週・今週と、
休みを利用して、紫峰に近づく機会がありました。
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( ↑ 2022/2/4 12:24 つくば市 磯部 )*
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( ↑ 2022/1/30 12:18 つくば市 神郡 )
古来より江戸方面からの参拝道である「つくば道」も、
等高線に対して直角の上り坂で、麓からの集落もそれに沿って
中腹まで続いているのがわかります。
私が筑波山に初めて来たのは、大学一年の晴れた秋の平日。
まだ運転免許も車も持っていない頃でしたので、
普通の自転車で仲間二人で麓まで平野部を来ましたが、
ゲレンデ張りの急傾斜を目の前にすると、
筑波山神社のある中腹までの標高差200mほどの坂道に、
サイクリングのルンルン気分は、いともたやすく打ちのめされました。
それでも、この細道が、以前はメインの参拝道として数百年も
機能し、服も髪も今とは違った時代の往来や賑わいを想うと、
まじかよと息切れぎれに自転車押しながらも、
不思議な旅情に包まれたのを思い出します。
( ↑ 2022/1/30 12:23 つくば市 北条 つくば道・入口の道しるべ )
さらに麓となる北条にあるJAの売店を覗いてみました。
この地の看板は、ブランド米の「北条米」。
( 2022/1/29 14:54 といいつつ北条米を一切取材していません、スミマセン。 )
古河から土浦を経て、佐原へ抜ける国道125号線沿いにあり、
道の駅と同様に地元産品が並びますが、このご時世ゆえ、
地域の方々のお買い物の方が多い様子でした。
そんな中で目を引いたのは、
3週間前の投稿でも取り上げました
(メーカーさんは異なりますが)あの一品です。
( ↑ 2022/1/29 14:51 )
筑波山の一帯でも、七味唐辛子は名産品。
容器も缶やカップや袋など、さまざまです。
よく見ると二行目には「福来みかん入り」の金文字が…。
3週前にご紹介した、元祖のブランド「やげん」さんと
原材料名を見比べてみますと、
唐辛子、陳皮、胡麻、麻の実、青さ(青のり)
の5種は共通のようですが、異なる2種に注目しますと、
筑波の黒い缶(苅谷さん)のは、フクレミカンと山椒が、
赤い缶の「やげん」さんのは、唐辛子のもう1種と、けしの実
が、「相違点」といったところの模様。
それよりも、「福来みかん」の「福来」って、
「フクレ」と読むのか?と思われた方もいらっしゃることと。
たしかに難読の「福来みかん」ですが、実のサイズが
キンカンと同じくらいのサイズの、ミニサイズの温州ミカン
といった感じで、茨城固有の品種といわれています。
( ↑ ↓ 2022/2/4 12:47 筑波山神社そばの土産店前に植わったフクレミカンの樹になる実 )
筑波山周辺が日本のミカン栽培の北限とされているのは
(この先、気候変動で、栽培限界は変わるかもしれません)、
冬の筑波山の中腹斜面が、底冷えする麓の低地よりも冷え込む
ことなく、温暖な微気候が保たれていることを活かして、
隣接する桜川市や石岡市とともに、温州みかんや福来みかんが
栽培され、11月・12月に収穫される特産品となっています。
県内の特産を紹介するこちらのサイトによりますと、
フクレミカンは今では、サイダー、ジャム、みそ、ソフトクリ
ーム、ぽん酢にあられと、様々なフーズのフレーバーに
使われているようです。そのうち、レトルトカレーも出るの
かもしれませんが、商品名を「フクレカレー」にすべきかどう
かが大人の事情で最後の関門になってしまうかと勝手に想像。
さきほどの「つくば道」の坂道は、神社近くになると石段とな
ります。今回歩いて登っていませんが、2軒のお土産屋さんの
間に、数百年来の古道が顔を出していました。
( ↑ 2022/1/29 16:15 )
( ↓ 2022/2/4 12:49 本来の石段のほか、県道を跨ぐ歩道橋の階段までもが見えます。 )
(古くは北条、一の矢、谷田部、守谷、戸頭・布施間の渡し(利根川)を経て、今の水戸街道に合流して江戸へ向かった模様。)
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ちなみに、右側のお店で「山いもそば」をたのむと、
お山のお値段ではありますが、歩き疲れた身に染みそうな一品
が、6~7分で着丼です。
( 2022/2/4 12:57 ここでもとりあえず、七味唐辛子を。 )
真夏のもりのとろろそばも最高ですが、
真冬のかけのとろろそばもまた身心共に温もる一杯。
七味唐辛子も、陳皮(温州ミカンの皮を干したもの)と
フクレミカンまでもが入っているものとを、
味くらべしてみたいところですが、それをやるなら、
かけそばでもなく、とんすに掬ったなべ料理でもなく…、
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(近日中、画像を載せます)(若干かけすぎの景)(左半分に筑波のを、右半分に やげん のをかけましたの図)
(奥に控える長野の「八幡屋礒五郎」さんの缶はゲストで。せんだって空になって補充までの間、そのままです。)
白菜のお新香こそ、いちばん七味唐辛子の味のうまさや違いが
はっきりわかるメニューかと思います。
牛丼屋さんでだって昔から、一皿50円別売りのお新香に
七味をふっていただいてきた、なじみの味わい方です。
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P.S.
(上述の、白菜のお新香を土曜日に買ってきまして、
*七味唐辛子2ブランドを振ってみますした。)
→上の写真で小皿のお新香右半分の「やげん」さんの方がやはり唐辛子2種(赤粉&焼粉)ということもあって、見た目の赤さも、口中の辛さも、「あー、これこれ。」な辛さを感じる中、胡麻の香味も感じます。
左半分の、筑波のフクレミカン入りの方ですが…
→ピリッとした辛さは抑え気味で、青のりや胡麻の香味をより豊かに感じ、インスタントの焼きそばに添えられた最後に麺にかける小袋の薬味を連想する風味でもありました。「あ、干したミカンの皮の香味がする~(オレンジピールのとまではいかなくとも)」という実感は、ダブル陳皮とはいえ、すぐさましなかったのですが、そこは、漢方薬の調合の一歩寸前のような「薬味」と解して、ありがたみを喫したいと感じているところです。なお、前者の「やげん」さんのも直営のお店でなら、買う際に7種の配合をカスタマイズできるので、唐辛子以外の比率をいろいろ試すのもありかもしれません。
以上になります(まだ早し)。