卓705 くにみ
水越 卓治 2023.03.31
取手の桜も年度末にして散り始め。
( 2023/3/30 15:19 取手市 取手二丁目 )
各地で花盛りの今週でしたが、
月曜は取手駅始発の始発に乗りまして、
( 2023/3/27 4:43 これから先、駅のホームの時計って、どんどん撤去されていくのだそうです…。 )
日帰りでとある未踏地を目指しまして。
この19時間後にこの駅にまた戻ってきました。
黎明の取手駅から3時間半ほど後に、第1食目。
( 2023/3/27 8:20 だしの風味まで絶品な、きしめん。 某・大都市の中心にある大きな駅の名物。 )
その1時間半後。
( 2023/3/27 9:46 大きな川を何本も横断して走る、輪中地帯。川の向こうには K市の市街地が。)
1時間後。ある県の県庁所在地にあるJRの駅。
この時間にしてホームにまったく人がいない県庁所在地とは?
駅名の表示がますます疑問符 “?” に見えてくる…。
( 2023/3/27 10:39 近鉄線から眺めた、JR線のホーム。 )
何県か、だいたいバレてきたところで、
未踏の地とはいったい何なのかのいいますと、
都道府県の区画ができる前にあった「國」の区画(旧國)で
(東京なら「武蔵」、長野なら「信濃」、熊本なら「肥後」
というアレです)、
本土(=離島以外)では、まだお邪魔していない國がじつは
一つだけありまして…。
1時間後…、
( 2023/3/27 11:30 左には海と伊勢湾フェリーの船体、右には大きな有名水族館が。 )
どうやら、「未踏の國」入りが果たせたようです。
ちなみに旅行はドライブも好き。
若い頃は基本、車でしたが、近年はとある理由で、
お気楽に移動できる公共交通機関の方が多い傾向にあります。
2時間後…。
( 2023/3/27 13:32 )
波静かなリアス海岸のほとりに来ました。
三陸海岸(岩手県など)ですと、標高が比較的高めな山地に
狭い湾が囲まれていることが多いのですが、ここのリアスは、
低くなだらかな丘と静かな海。カモメやトビも見かけません。
この丘の森からの有機物が、おいしい海の幸を育むようです。
そこで、
( 2023/3/27 14:00 先ほどの「とある理由」がなんとなく漂う風景でもあります…。 )
殻の内側と同じ形をした新鮮な身は、くせも臭みもなく、
「海のミルク」と喩えられるだけの滋養に満ちた柔らかみに
ただただうち震えてしまうような、非日常に堪能する味覚。
この地区(的矢)の公共交通は、
コロナ禍以降にバスは途絶え、タクシーか渡船が残るのみ。
その渡船も今や、月水金だけの運航。この日は対岸にある小さ
な島へ、無料の市営渡船で渡りましたが、乗客は自分だけ。
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というわけで、訪れた旧國は、
三重県東部に位置する、志摩國。
今ある自治体としては鳥羽市と志摩市の2つからなり、
面積では60ほどある本土の旧國の中ではおそらく最小かと。
帰路は、鵜方(志摩市)を経、往きに通った名古屋に出ずに、
鳥羽港からフェリーで伊勢湾を横断して、
対岸の渥美半島(愛知県)の西端・伊良湖へ渡ることに。
鳥羽港17:40発の便から眺める、志摩諸島・答志島の日没。
( 2023/3/27 18:02 )
答志島からさらに愛知県寄りにも小さな島。神島といいます。
小さな島ですが、ここまでが、今回目指した志摩の國。
三島由紀夫の「潮騒」の描かれた舞台の地でもあります。
( ↓ 神島 2023/3/24 18:15 )
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航行する先を見ると、
渥美半島・伊良湖岬付近(愛知県)が見えてきました。
ここは、名古屋周辺の中京工業地帯への海の出入り口。
伊勢湾口を横断する、乗船中の伊勢湾フェリーと異なり、
伊勢湾を縦断する貨物船は多数航行しているはずです。
この日、この時間、写真にはPCC(自動車専用船)の姿が。
( 2023/3/27 18:16 )
他国、または、自動車工場の無い国内各地への
新品の自動車を数百台も積載・輸送する、鯨のような勇姿。
自然豊かな景観の中を、
日本一の工業地帯を出入りする貨物船が、
数億~数十億円規模の製品を積載・航行する様子は、
大動脈的な空間的相互作用として、
抽象的な受け止め方をするに足る光景でもありました。
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P.S.
タイトルの「くにみ」という言葉についてですが、取手校開校(1983年)よりも前の準備室時代から勤務していた和田吉正先生(理科)から、かつて、よその地域をめぐることをご自身の郷里では「くにみ」と呼んでいたよという話を、九十九里かどこかに先生方で1泊2日の物見遊山(まさに「くにみ」)に行った際に初めて聞いた記憶があります(1994年頃だったでしょうか)。
近年は松戸のVERITAS校勤務であった和田先生が先日、春休み中の取手校にごあいさつに見えましたが、十分な時間お話はできませんでした。今後も「くにみ」から得られる発見・探究・活用を、学ぶ人々の糧に供することができるよう、地理専攻の自分は尽力します。
以上になります。