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不安定な時代だからこそ歴史に学ぼう! 国際・外国語系志望者へ

岩崎 一好 2023.12.01

この絵葉書は、フランス旅行した先生からいただいたパリの陸軍博物館 (Musée de l’Armée)のナポレオン像の絵葉書です。陸軍博物館 (Musée de l’Armée)は地球上で最大級の軍事史と美術コレクションを所蔵しています。他ならぬナポレオン・ボナパルトは、1861 年以来ここの墓で眠っています。

 

1 世界史を学ぶ意味

私たちはヒト、モノ、カネが自由に移動するグローバルな時代に生きています。冷戦終結後、世界は平和で、豊かで、協調のある時代であったと思っていましたが、近頃、大きな変化を感じるようになりました。それは、戦争で多くの人が犠牲になっているにも関わらず、国際社会はそれを静止することが出来ない、無責任な国際社会の存在です。また、ロシアによるウクライナ侵攻、パレスチナ問題等の紛争、民族、宗教、移民、環境、エネルギー問題、私たちの生活に直接影響してくる時代となったことです。この混迷した時代を生きるにあたり、何を学び身につけることが大切なのでしょう。それは「歴史」に学ぶ力を身につけることだと思っています。

なぜ「歴史」を学ぶ必要があるのでしょうか?それは「温故知新」、過去から現在を理解するためです。今の世界の特徴はどのような過程から作られてきたのか。そして、世界が向かう方向は何がよいのかと考えるために必要なのが「歴史」です。

現在の国際、国内の問題は、その現象だけを捉えるだけでよいでしょうか?そうではないのです。先述した国際問題は、歴史をたどらなければ、問題の本質を捉えることができないです。それがどのように現代までつながっているのか、なぜ現代で問題となっているのかと考えれば、現代をより深く理解できることになります。そして、日本から遠く離れた場所で発生している問題が日本にも同時影響してきているし、逆に日本で起こった出来事が日本の中だけで完結しない状況が現実にある。グローバルな時代が進展すればするほど、その傾向は強まっています。

現代の課題は、地域、戦争、領土問題、移民の問題、エネルギー問題、食糧問題、人口問題などが、結びつきながら、私たちの面前に現れています。対岸の火事では済まされないのです。こうした状況を踏まえて「日本はどうする」「私たちの生活はどうなる」ことを考える必要があるのです。「日本の現実、未来」「私たちの現実、未来」を考えるには世界的視野から考えることがとても大切です。その意味で「世界史」を学ぶ意義は重要になってきます。

 

2 国際・外国語系学部への進学希望者の「日本史」「世界史」の選択について

 

現在、大学入試は、総合型と一般入試の実施比率は半々となってきています。総合型の場合、英語、小論文、研究レポート、志望理由書、自己推薦書、面接が課されることが一般的です。そこで必要とされることは、専攻する学域の基礎知識とテーマの論点を把握し、自らの意見を作り上げる力です。特に国際、外国語系学部の場合、小論文の出題内容、レポート課題の内容は、世界史の基礎知識とそのテーマに対する論点を把握していることが前提で自らの意見を求められます。小論文の読解、書き方を身につけていたとしても、対応することが出来ないケースが多いです。そこで、国際・外国語系学部への進学希望者は「世界史」を履修することをお勧めします。「世界史」を学ぶと、グローバル課題の本質と日本との様々な関連性を理解することができ、現代世界の全体像を捉えることができます。それをベースに国際系小論文の頻出事項である「近代」「国民国家」「民族」「グローバル」「文明」「文化」「言語」「宗教」等のテーマの論点を学び、自らの意見を作っていくのです。「日本史」「世界史」の選択を好き嫌いで安易に決定するのではなく、将来の学びたい学域から、比較検討し選択することがのぞましいと思います。

 

3    おすすめの本 ぜひ挑戦してください。

「国際関係がわかる本」原康著 岩波ジュニア新書

「グローバリゼーションとは何か」伊豫谷登士翁著 平凡社新書

「異文化理解」青木保著 岩波新書

「二十世紀とは何であったのか」小林道憲著 NHKブックス

「ヨーロッパ「近代」の終焉」山本雅男著 講談社現代新書