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お菓子の自動販売機は必要か・・・

後藤 彩子 2024.07.01

先日、明和会(生徒会)代表と教員代表の間で、「校内の自動販売機でお菓子を販売するか」の討論が行われました。
会食指導係であり、保健で「食事・運動・睡眠」などの生活習慣を中心とした健康分野を担当している私も、生徒指導部長とともにこれに参加しました。
結論は出ず、「とりあえず全校生徒に『入れてほしいパンの種類(現在、補食として、自動販売機でパンが売られています)』や『お菓子の自動販売機を入れてほしいか』などをアンケートで聞いてみたい」ということでその日は散会しました。
ちなみに私はといいますと、個人的には甘いものが大好きではありますが、会食係・健康分野担当として、お菓子はおろか現在販売されている清涼飲料水の種類や数にも疑問を持っている立場です。

一時期、「塩・糖・脂、塩・糖・脂」と連呼するCMがありましたが、塩分・糖分・脂肪分の取り過ぎは、現代日本人の食生活の大きな課題となっています。
糖分に絞って考えてみましょう。
WHOが推奨する砂糖の摂取量は、平均的な成人で25g程度だそうです。
ところが、500mlペットボトルですと、例えばカルピスウォーターで55.5g、ポカリスウェットでも31gの砂糖が含まれており、すでに目標値の25gを軽く超えてしまうわけです。
また、農林水産省・厚生労働省による「食事バランスガイド」では、「200kcalまでは、楽しく適度に菓子類や嗜好飲料を楽しめる目安」となっています。
単純に砂糖だけで計算すれば50g(1g=4kcaで計算)までOKということになりますが、油脂類(1g=約9kcal)が含まれたチョコレート菓子やクッキー・スナック類であれば、あっという間に200kcalをオーバーしてしまうことは目に見えています。
(ちなみにポカリスウェット500mlは125kcal、カルピスウォーターは230kcal、小麦粉1:バター1:砂糖1でおなじみのパウンドケーキは、薄くスライスした1切れ(50~60g)で200~250kcal、カルビーポテトチップスうすしお60gで336kcalだそうです)

ところで、全米やオーストラリアの一部の州では、2008年ごろから公立学校での清涼飲料水の自動販売機の設置を禁止しているそうです。
日本以上に肥満や糖尿病をはじめとした生活習慣病が問題視されているアメリカでは、カフェに必ず数種類のコーヒーシュガーやミルク(普通・ダイエットシュガー、低脂肪乳)が選べるように置いてあり、脂肪や糖の摂取量に非常に敏感になっていることを伺い知ることができます。
(もっとも、コーヒーに入れるわずかなミルクの脂肪分こだわる前に、油ギトギトの主食、ジャンキーな食生活を何とかしたほうが良いと、思わず突っ込みたくなってしまいますが・・・)

一方、本校では、数年前に飲食物の持ち込みや登下校途中での立ち寄りが解禁されました。
それなのに、本当にわざわざ学校でお菓子類を販売する必要があるのか、という疑問も禁じえません。
「甘いものを食べ過ぎて健康を害したとしても、それは自己責任」という人もいますが、仮に校外で買って持ち込んで食べ過ぎた人を「自己責任」と言えたとしても、学校でお菓子を買える環境を整えておいて「自己責任」と言い切ってしまってよいのでしょうか。

前述のとおり、私も甘いものが大好きです。
特にストレスがたまるとアイスクリームを際限なく食べてしまう習性があり、体重だけではなく健康診断でHbA1cの値が基準値よりオーバーしてしまったこともあります。
そんな時にどう対策したかというと、「買わない」ことでした。
学生時代に減量種目(体操競技)をやっていた際も、とにかく目のつくところにお菓子などの甘いものを置かないこと、買わないこと、家に持ち込まないことを心がけました。
心理学でも「誘惑となる物質を遠ざける」ことは、誘惑に打ち勝つ有効な手段だそうです。
(例えばスマートフォンの使い過ぎであれば、手から離す、勉強部屋や寝室に持ち込まない、時間指定ロックをかけるなど)
おなかがすいた状態で目の前に甘いお菓子やジュースがあって、「我慢をする」「カロリーやグラム数を気にしながら選ぶor食べない判断をする」ことが本当に可能なのでしょうか。
会食の様子を見ていても、カレーやスパゲティーなど人気メニューの時には食堂中からライスや麺が消え去る一方で、和食ではカレーほどはご飯も進まず、とりわけ副菜の野菜類が若干残されている現状を見ていると、「自分の健康を考えて口にするものを選ぶ」ということはなかなか難しいような気がします。
また、それを一概に「知識がないせいだ」とか「意志が弱い」とは言い切れないと思うのです。
人間は、というか、人間も含むあらゆる動物の大脳辺縁系が、誘惑や欲求には素直になるようにできているのですから。

現在私は孤軍奮闘している状態であり、私以外は「少しくらいならいいだろう」「糖分や脂質の過剰摂取の危険性を教えて、自分で選べるようにすることに意義がある」と考えていらっしゃる先生方が多いようです。

みなさんはどうお考えになりますか?

 

(余談ですが、照り焼きマックバーガーセット(ポテトM・ミニッツメイドオレンジM)は、1036kcalです!)

 

自販機コーナーと呼ばれる、1階の飲食スペース。

ペットボトル飲料に含まれる砂糖の量

上段のカロメを排除し、お菓子を入れたいようです

加糖飲料が並ぶ自販機。これが校内に6台…