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卓801 精 々

水越 卓治 2025.01.31

大学時代の友人知人先輩後輩とも連絡を交わしたりしますが、
高校時代の場合と違うのは、
出身地が全国各地や国外にわたる、という点でしょうか。

中学・高校時代の友人知人の出身地は半径数十km圏内、
小学生時代ともなると半径数km圏内という点で、
行動地理的にみて、対照的です。

で、「全国区」の輪で対話したり、SNS等のテキストでの
やりとりをする際に気をつけるようにしている言葉づかいが、
いくつかあったりするのですが、

“副詞” 部門では、
「せいぜい」の用い方に気をつけています。

自分の場合、20代前半までは、
「一定の上限を超えることなどとうてい困難でしょうけど…」
のような嫌味でネガティヴな意味でしか使わないものだと認識
していました。ところがそれは狭い識見だったわけでして…。

大学卒業後に、とある数百km離れた地域に住む知人に会いに
行き、そこの路線バスに乗っているときに聞こえた案内放送で

「… 回数券を せいぜい ご利用ください。… 」
(これからは「回数券」が死語となる可能性もありますが…)
のフレーズに、正直なところ驚きを禁じえませんでした。

それは、「回数券を買えるものなら買ってみな」に近い
ニュアンスにこのときは聞こえてしまったのです。でも、
「いや、おそやくそういうニュアンスではないんだ。」
とも直後に思いました。

そのあと知人と色々と話していると、副詞・「せいぜい」の
用い方・認識の仕方が、自分の地域と、訪れたその地域とで
異なることを知りました。

ここでまず注意を要するのは、
どちらの地域が優位にあるのかなどという先入観を
すぐさま抱くべきではないことでしょうか。
いわゆる「マウント」ということになりますが、

多数派だ・少数派だ、
共通語(標準語)だ・方言だ、などの仕切り分けを
すぐさましないと気が済まない、という心理は、
根拠に乏しい判断であるため、適切であるとは思いません。

で、この「せいぜい」の用法なのですが、
改めていろいろと辞書やサイトなどを調べてみますと、

嫌味なニュアンスの方が二番手の狭義であって、
一番の意味としては「精一杯」「力の及ぶ限り」「頑張って」
の意味で用いる副詞であることがわかりまして、
いわゆる共通語・標準語として用いられるべきニュアンスも、
よりポジティヴな言い方として使うのが正しいようです。

また、さらにほかの地域の人にとっても、
「せいぜい」はポジティヴな意味で主に使っており、
ネガティヴな意味を第一として使っているということは
ないようであるということも、複数の情報からわかりました。

バス回数券の案内用例もたぶん、
「お得になってますので、どんどん買って使ってくださいね」
という意味に近いのかな、と解釈しています。

今、自分がくらす地域だと、副詞「せいぜい」は、
「一定の上限を超えることなどとうてい困難でしょうけど…」
だけで使っていて、それが全国区の標準語であると認識しがち
であるけれど、多くの地方や権威ある辞書などを参照すると、
一にポジティヴなニュアンス、二にネガティヴなニュアンス
であることも見えてきました。

2008年、オリンピックに向かう選手団に向けてときの首相が
「せいぜいがんばってください。」と言葉がけをしましたが、
これをネガティヴな意味ととらえて疑問や抗議を唱える声が
結構寄せられたのだそうです。ここまでの話からしますと、
首相がかけた言葉に誤りや問題は全くないのですが…。

言葉は、用いる地域、用いる世代によって、
同じ言語の中であってもニュアンスが一様ではありません。
型にはまった、もしくは、狭い地域に限定した交流であるよう
ならば、型から外れ、広い範囲に留意する寄り添い方というも
のを錬成していくことは生涯重要なのではないかと思います。

ここまでの文中、地名、地域名を伏せて記しましたが、
下記のとおりです。
明記しますと、余分な見解が発生しがちなので、避けました。

・大学時代の知人の住む、数百km離れた地域・・・金沢市
・「さらにほかの地域」・・・近畿地方
・私がくらす地域、育った地域・・・関東地方南部、首都圏

「せいぜい」の場合、首都圏や関東の人々の方が、
偏狭なニュアンスだけでとらえている場合のありうる
珍奇なケースである可能性があるといえるようです。

あす2月1日以降、
他都県での私学をはじめ、入試が本格化します。
47年前の自分も、2月1日は4科と面接でのぞむ日でした。

ポジティヴな意味で記しますが、
せいぜいがんばってのぞんでほしいと思います。



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P.S.
学校であったことも掲載しましょう。
今週月曜は、本校・箏曲部が昨年に交流したご縁で、
中央アジア・ウズベキスタンからのお客様が来校されまして、
生徒が放課後、ささやかなおもてなしにのぞんでおりました。

( 2025/1/27   16:25頃 第1音楽室 )


ご存じ、旧ソ連であった(…もう、CISという言葉も聞かなく
なりました)国の一つであるウズベキスタンですが、

国語はウズベク語、第1外国語はロシア語で、English にはな
じみがないようであることは、生村先生から昨夏いただいた、
ウズベキスタンのインスタントラーメンのパッケージに印刷さ
れた、中央アジア各国の言語+ロシア語での調理法や原材料の
記載からもうかがい知れました(Englishの記載はなし)。

日本人から見て、English は 万能な外国語という印象を持ち
がちですが、ウズベキスタンをはじめとする中央アジア各国
のみならず、大陸のヨーロッパ各国、植民地時代に英領ではな
かった地域(アフリカの旧仏領の国々など)などに目を向ける
と、「Englishは決して万能外国語などではない。」ことがう
かがいしれます。

でも、PCのエラーメッセージは English で出てくるため、
統一? 征服? の度合いは、分野によりけりといったところかも
しれません。

以上になります。