卓574 多彩な共有空間
水越 卓治 2020.09.25
気付けば9月もあと5日。
同じようでいて、例年とは違う
夏の終わりを感じる日々でした。
( 2020/9/14 13:14 )
以前ご紹介しました(…「卓565」ですから、9週間前)、
五輪開会式日のはずだった日に、五輪が咲いていた一鉢からは、
9月の中旬~下旬もまだなお、7月を思わせる彩りが…。
夏ひとかけら。
中旬をふりかえります。
9/12(土)は、初の開催となった後援会 評議員会。
( 2020/9/12 13:20 )
後援会は、他校さんでいうPTAにあたりますが、
12名の本部役員さん、29名の評議員さんが一堂に会する
機会も、今年度は予定より4か月半も遅れてしまいました。
( 2020/9/12 13:22 評議員さんを代表して、6年生保護者のUさんに、湯澤校長から委嘱状を受けていただきました。 )
例年ですと、秋の聖徳祭(文化祭)におけるバザーや模擬店の
準備に関する議事が、9月の評議員会で展開されるのですが、
生徒・教職員のみの開催となる今年度はそれもほとんどなく…。
でも、聖徳祭開催の二日間(会食なし)に、生徒に軽食を
後援会から提供してくださるというアイディアと決定は、
駆け付けられない分の最大限の声援。活気に繋がると思います。
各種委員会活動へのご協力もいただきまして、ありがとうございます。
同じく9月中旬の、
5年生(高二)全クラスの地理A。
夏休み中の課題内容をプレゼンしていただきました。
( 2020/9/11 10:20 5年総進コース・地理A )
夏休みの課題は、8月下旬にTeams上に各自でアップロード。
上旬の授業時間に、生徒は学年の全員分に目を通し、Formsで
よかったと思う作品をコメントと共に投票。投票の多かった生徒を中心に、
ノートを撮った画像、Word、Powerpoint、動画などで
アップされた課題内容を説明してもらいました。
ちなみに内容は、各自の郷土について少し掘り下げて調べ、
5年生のみんなに向けて、郷土アピールをしようというもの。
( 2020/9/9 11:56 得票最多の作品発表。説明音声入りの2分半の動画で我孫子市を。 )
共通項目としては、
・小選挙区の名称は?
・市(区町村)長さんの氏名は?
・車のナンバーは?
・初詣人気のTOPの神社仏閣は?
・その他もろもろ、…などでしたが、
徹底して調べていただいたのは、
自分の市区町村の合併史です。
つまり、明治の大合併、昭和の大合併、平成の大合併
などを遡ると、どんな町村が今の市区町村を構成していたのか
ということです。
( 2020/9/9 11:42 某市の合併史。このあと、市長紹介の段で教室は少々騒然とします。 )
上旬に実施した、全員の作品をスマフォで相互に読み込む段では、
学校近隣の市の生徒がやはり多い傾向にあるので、
どうしても似たような調査内容をくり返し読む羽目になりそうでありながらも、
表現や記述の仕方が様々に個性的であったので、
ほとんど退屈することなく読み通せているようでした。
ついには、守谷市や我孫子市の範囲で試験問題を出されても、
結構点が取れそうなくらい、魅力や豆知識を得てしまっています。
近隣の市ではなくとも、
表現のバリエーションにふれることで、
相互に刺激が与え合う機会になったようにも思います。
昭和末期から平成にかけて、6町村もの合併を伴ったつくば市が
通学圏ではもっとも表現する情報量が多かったことと思います。
( ↓ 明治の大合併以前の村・新田まで記していたら、1枚では済まなかったでしょう。「桜町」、正しくは「桜村」。合併寸前に日本で人口最多の村でした。)
( ↓柏市 )
( ↓ 土浦市 この市出身の俳優さんがこの夏、故人となってしまいました。 )
得票が決して多くない作品にも、
実直に課題に取り組んだ様子がうかがえるものもたくさんありました。
授業担当教員1名だけが宿題を通読して、コメント書いて、
また各自に返却するという時代は終わり、
プレゼンとシェアにすでに移行。
とはいえ、指導者の方は、誤謬の指摘や方向性の示唆は欠かせません。
今回の課題は、5年生よりも分量少な目で中1にも出しましたが、
おうちの方との探索(←中1はそれでもよいと思います)もあり、
自力で遂げた子のも含め、わくわくするような発表内容に仕上げておりました。
( ↓ 中1生による取手市の合併史まとめ )
合併史のほかにも、
市区町村のアピールも。
出典、引用先の明記も標準仕様。
買いに、食べに、行ってみたくなる紹介も。
生徒相互のFormsでのコメントにも多数の反響が見られました。
そもそもこの課題を出すきっかけは何であったかといいますと、
2017年以降、県から私学各校に対するある調査項目の中に、
次のようなものが登場したのです。
「郷土愛を育む教育」を行っているか、という項目と、
「郷土の固有の伝統・文化・歴史・環境等を学び、触れさせる取り組みを
全生徒が在学中に受けられるよう計画的に実施していること」。
背景には「(県の)次世代を担う人材育成」という政策課題があるといいます。
ですが、県境近くに位置する本校の場合は、郷土を隣県とする生徒にまで、
たとえば「いばらきっ子郷土検定」の受検を促進するような指導は
決して順当ではなく、
各自の郷土(授業では、義務教育の時期に最も多く住んでいた地、としました)が
構成される経緯や、自然や社会が醸し出す特色を、
既製の知識の憶え込みなどではなく、
興味関心を動力とした探索・探究を経験することにより
郷土愛につなげる活動の方が重要であると考えます。
プレゼンでも、異なる県、異なる市町村の生徒同士でも、
「明治の大合併後の町村名は、今の小学校名や駅名に残っている。」
「昭和の大合併後の町村名は、今の中学校名に残っている。」
などの共通点を、「うちもそうそう」と実感し合う様子も見かけました。
人口規模が大きいと、この限りではありません(中学校名はナンバーになりがち…など)。
郷土愛を育む指導は、まったくやっていなかったわけではなく、
2010年ころまでのおよそ10年、「小貝川クリーン作戦」なる活動を
全校規模で毎年2回展開していました。
合併前の藤代町の方々による、一時は荒れていた小貝川の畔を
美化する活動に共に加わり、追体験するというものでした。
しかし、2011年の東日本大震災による原発事故の後、
放射線に配慮し、この活動は中止となりました。
結論としましては、
本校のような広域な通学圏をもつ私学の場合、
クラスや学年や部活ですでに、在住地や郷土を異にする人たち
(同級生・先輩・後輩)と日々接する環境下で、
逆に自身の在住地や郷土のもつ特性を、
早期に、かつ、相対的に、多彩に認識しうるという
利点を持てる場でもあるのだということも、
特色ある教育環境の一つとして、指導や育成をする側も、
もっと認識してもよいのではないかと、
一私学マンは考えます。
■
ちょっと前の会食。
( 2020/9/15 12:45 「里芋の中華煮」「豆腐の中華スープ」とともに… )
(滋味と潤いで充足感に満ちた口中を、最後にカルシウムウェハースから水分を全部吸われて食事は終わります。)
メインのメニューはなんと、「酢鶏(すどり)」で、
内心「はぁ!?」(和田アキ子さんもまっつぁおの…)。
会食メニューの新語大賞(そんなのはない)候補に認定されました。
あやうく顔認識までされそうなショットとなった一皿でした。
以上です。